日常会話レベルの意思疎通はできるけど、全然ネイティブに近づけない!
海外に長く住んでいても、英語力の壁にぶち当たっている人、アジア人英語から抜け出せない人はたくさんいます。
仕事やプライベートで英語を話す機会がある人はまだいいですが、そうでない人は自分で勉強してこの状況を打破するしかありません。
ただ勉強と言っても、単語、文法、コロケーション、発音、リスニング・・・いったい何から手を付ければ効率がいいのやら...(´-ω-`)
日本の義務教育を受けてきた私たちは、英語の勉強と言われると単語とリスニングの勉強に目を向けがちです。もちろんこれらもとても大切ですが、ネイティブとスムーズにやりとりするにはもう一つ大切なことがあります。
イディオム(熟語)です。
洋画を思い出してください。ネイティブたちの会話の9割は私たちが知っている簡単な単語でできていませんか?
それなのになぜか理解できない。
これは簡単な単語を組み合わせることで、想像もつかない意味になることがあるからです。
私も海外に来て3年ぐらいまではこのことを知りませんでしたが、一度集中してイディオムの勉強をした後は、急にカーラジオのニュースが聞き取れるようになったり、まだ少しだけですが日常の中でも砕けた表現ができるようになりました。
今回は、私がこのイディオムを勉強する際にお世話になった「Distinction」という本を皆さんにご紹介したいと思います。
アメリカ、カナダ、オーストラリア、イギリスで共通して使える表現を厳選しているのとのことなので、これらの英語圏に長期滞在する方、ネイティブのように話せるようになりたい方にはお勧めです。
また、カジュアルですがスラングほど砕けた表現ではないので、IELTSやTOEFUL、ケンブリッジ検定などで使っても問題ないとのこと。スピーキングやライティングテストに盛り込んで高得点を狙っていきましょう!
もくじ
おすすめ英語教材「Distinction」とは
YoutubeチャンネルAtsueigoの西方篤敬さん(通称アツさん)が、複数のネイティブスピーカー協力のもと作り上げた英単語・英語表現集です。
まずアツさんの実績ですが
- 高校二年から英語の勉強に目覚め、独学でTOEIC 990点満点、英検一級、IELTS 8.5、TOEFUL 114点、語彙レベルテスト2万語
- 小樽商科大学、オーストラリア国立大学(世界ランキング20位)ともに成績優秀者として3年で卒業
- メルボルンにある世界四大会計事務所の一つで公認会計士として勤務中
いろいろとヤバイですよね(゚Д゚;)
大学時代から現在に至るまでオーストラリアで生活してきたアツさんは、ネイティブに囲まれながら生活する中であることに気付きました。
「日本での英語学習では触れる機会が少ないのに、ネイティブは日常的に使用している表現法がある」
英語力底上げの為には、自身の語彙力にプラスして、こうした生きた英語表現も学ぶ必要があると知ったアツさん。ネイティブとの交流の中で新しい英語表現に出遭うたび長年に渡ってノートに書き留めてきました。
Distinctionは、こうして蓄積されてきた3000以上の英語表現の中から、日本ではあまり触れることがないのに海外では一般的なものをピックアップし、使用頻度順に掲載しています。
つまり頭から順に覚えていけば効率よくネイティブの言い回しを勉強できるということです。最近英語力の伸び悩みを感じている方は、この一冊でアジア人英語の殻を打ち破ることができるかもしれません。
Distinctionのすごいところ
- 複数のネイティブスタッフがピックアップした日常でよく使われる英語表現
- アメリカ、カナダ、オーストラリア、イギリスで通用
- IELTSやTOEFULなどで使用可能
これだけでもスゴく価値のある英語教材だと思いますが、Distinctionはそのデザインまで、いかに効率良く学習できるか考えて設計されています。
言葉の成り立ちを解説
例えば右ページには英語表現の語源や由来が丁寧に解説されています。英語の暗記作業では、こうした背景や成り立ちを知ることで楽しく学習することができ、かつ頭にも残りやすくなります。
例をあげると、筆者の好きな表現にwing itというものがあります。「即興でやる、適当にやる」という意味で、バイト先でまかないを作って美味しくなかったときなどにI just winged it.なんて言い訳したりしますw
こういう表現をそのまま丸暗記しているだけではいつか忘れてしまいますが、右ページにある言葉の成り立ちを読んで、「即興芝居を求められた人が舞台袖(=wing)で必至に練習する姿から、wingという言葉そのものに即興でやるという意味がついた」と知っていれば、その情景、イメージを思い浮かべることで英語表現が導き出せるのです。
実用的な例文
例文もこれまでの単語帳のような硬いものではなく、ネイティブ監修のもと、日常会話の中で実際に使われるような砕けた文章ばかりを掲載しています。「I hate the in-your-face anti-smoking campaign. 私はあの攻撃的な喫煙キャンペーンは嫌いですね。」のように、中にはシチュエーションがすごいピンポイントだなと思うものもありますが、これはこれで印象に残って覚えやすかったりします(笑)有難いことにこういった例文が一つの表現につき、二つずつ掲載されているので、各語彙がどういった状況下で使われるのか具体的にイメージしやすくなっています。
音の変化(脱落)を考慮した発音記号
Tell it like it is(ズバズバ言う)の発音記号は、tél ít láik ít izで、無理矢理カタカナで書くとテル イット ライク イト イズですよね。ただ、実際の発音はtélí(t) láikítiz(テリッ ライキティズ)といった感じ。
このように複数の単語が連続で発音されると、元の発音記号と実際の発音が変わってしまいます。こういう理由からか、一般的な単語帳のイディオム部分には発音記号が載っていません。(オリジナルの発音記号を書くと実際の音とギャップがあるし、音に沿って書くと発音記号としては間違いになるため)
しかし、実際の発音を無視して覚えることは実践を考えたときに非常に効率が悪いです。音の変化に気づかず、折角覚えたイディオムを聞き取ることができなくなってしまいます。
こうした理由から、Distinctionでは実際に発音される音を発音記号として添えています。発音しながらイディオムを覚えるようにすることで、音と意味が結びついた状態で頭に残るように工夫されているのです。
効率的な英語学習法
Distinction冒頭にも書いていますが、暗記物は一気に覚えるのではなく、何度も反復して徐々に覚えていった方が記憶に残ります。例えば2000語とか3000語とかある英単語帳を覚えるとき、一つ一つの単語にゆーっくり時間をかけて一周で全て終わらせた場合と、何度も同じページを捲りながら最後まで辿りついた場合。かける時間は同じだとしても、前者の場合、最初の頃に覚えた単語はほとんど忘れているでしょう。音楽をやっている方ならもっとわかりやすいと思いますが、楽譜を最初からゆーっくり一回弾いただけでは覚えられませんよね。イントロを覚えたら、今度はAメロまで行ってみよう。AメロまでできたらBメロまで通しで弾いてみよう。こんな風に同じところを何度もなぞりながら曲全体が頭に焼き付いてきます。こうした脳の仕組みはドイツの心理学者、ヘルマン・エビングハウスらの研究によって科学的にも証明されています。
しかし、こうして何度も反復して記憶した言葉も、実際に使っていかないと完全に習得することはできません。会話の中でパッとは出てこないけど、人が使っていたら理解できる程度の言葉(Passive vocabulary)を実践で使ってみることで徐々に脳に定着していき、自分の操れる語彙(Active vocabulary)に進化させることができます。
つまり、何度も見返してざっくり記憶したら必ず使って脳に定着させる。覚えた単語やイディオムをものにするにはこの2段構えを意識する必要があります。もし実践する機会がなければ、SVO程度の簡単な例文を作って声に出してみる。たとえばAre you on the same page?とかHe bailed me out.とか。これだけでもかなり効果があります。
Distinctionを使ってみた感想
Distinctionには1と2があります。筆者は1だけ終わらせた段階ですが、始める前と比べるとかなり変化を感じています。
- 学校の先生の口癖がPretty much(大体)
- 電話の締めにI’ll get back to you(また連絡します)
- 会議でWe need to work on~(~を改善する必要がある)
- コロナ騒動の対応がLock down(閉じ込めて鍵を閉める)
全部Distinctionに出会う前は知らない表現でしたが、日常でこういう言葉が流れてきても、あっ勉強したやつ!とすっと理解できるようになりました。
もちろん聞くだけではなく、Active vocabulary化のために覚えた表現は使うようにもしています。
- Sorry for putting you on the spot, but(難しい質問をしてすみませんが)と前置きしてから質問してみたり
- Sorry for holding you up(時間取らせてごめんね)と去り際に一声添えたり
- ASAPではなく、sooner rather than later(できるだけ早く)、I feel nervousの代わりに、I have butterflies in my stomach(緊張している)とあえて難しい表現を使ってみたり
- 友達のオーバーリアクションに対して You are such a drama queen(大げさだなあ)とからかってみたり
まだまだ覚えた表現の半分も使えていませんが、それでも相手がネイティブだったらこいつできるな!という反応をしてくれますし、周りの日本人はさっき何て言ったん?と聞いてきます。ふっふっふっ一皮剥けたかな?て感じです(´艸`*)
ネイティブと会話がスムーズにいくと、それがお店の店員さんだったとしても親密度が高くなります。特に日本人は英語が苦手というイメージがありますから(;^_^A 印象に残るような会話ができたときは、次に行ったときに気さくに話しかけてくれたり、サービスしてもらえたなんてこともありました。もちろんそれが目的ではありませんが、そういう「人との関わり合い」が海外生活を楽しくするのも事実。アジア人英語を抜け出すため、表現の幅を拡げるため、覚えたイディオムはドンドン使っていこうと思います。
またIELTSを受けたときもスピーキングかライティングで絶対に覚えた表現を使うと決めており
- 気を付けると言いたいときはbe careful of と言わずにwatch out for
- ~方がいいと言うときはbetter to~ではなくbetter off ~ing
- 忙しいはbusyではなくslammed
などというように、簡単な言葉をあえて難しくして解答していきました。(テストじゃなかったら確実にうざいやつw)最新のテストは2019年にメルボルンで受けたんですが、スピーキングが詰まりまくって自分としては「完全に終わった。また受けなおしや...(´-ω-`)」と思っていました。ただ結果としては6.5と自分史上最高点。これに関してはDistinctionのおかげとしか考えられません。
まとめ
ネイティブスピーカーは日常会話の中で簡単な言葉の組み合わせ(イディオム)を多用するので、英単語の勉強と並行してこれらイディオムも覚えていかないと会話についていくことは難しいです。しかし、そうした実用的なイディオムをまとめた教材は今までにはありませんでした。
今回ご紹介したAtsueigo出版の英語教材「Distinction」は、史上初となるほどの実用的な英語教材で、ネイティブが日常でよく使う英語表現をリストアップし、暗記しやすいデザインにまとめられています。項目ごとに2つずつある例文は、たわいもない日常のワンシーンが切り取られている感じで、リアルな使いどころ、シチュエーションが理解できます。
筆者は常にこの本を鞄に入れて持ち歩いており、ネイティブとのコミュニケーションツールとしても本を見せながら「この表現ってほんとに使う?」と聞いたりします。
「Walk on sunshineは歌詞で出てくる表現で実際には使わないよ。わっはっはっ」
「Drama queenとは言うけどDrama kingとは言わないよ。男に対してもDrama queenで大丈夫だよ」
この2つだけは何人かに言われたことがあるので自分も使わないようにしていますが(地域差で使わないだけという可能性もあります🤔)、その他の表現に関しては「うん!使う使う」と皆さん言ってくれるので、凄く実用的な本であることは間違いなさそうです。
文法や単語を覚えたけど頭打ちを感じている方には救いの手になるかもしれません。Distinctionで勉強して、かっこいい英語を話せるようになりましょう!
※店頭販売はしておらずAtsueigo公式ホームページのみから購入できます。